研究代表者
光田 信明
所属大阪母子医療センター
役職病院長
専門周産期医学
”社会的ハイリスク妊娠”は現在の周産期医療の中で年々、大きな課題となっています。過去およそ40年で、本邦の母児の予後は格段によくなったにもかかわらずです。お母さんの母体死亡率、お子さんの周産期死亡率を見ても、世界のトップクラスです。ではどのような課題が持ち上がってきているのでしょうか?
当たり前ですが、出産後には子育てがあります。この一連の、妊娠・出産・子育て期を通して”新たな課題”が持ち上がってきています。それは、お母さんのメンタルヘルス不調、自死、子育て困難、児童虐待等々です。幸いにも出産までたどり着いた母児の健康が大きく損なわれている現状があります。現在の母子保健事業において、医療は病院(中でも周産期母子医療センター)を中心に母児の身体的な予後の改善を目指して取り 組んでいます。一方で、児童福祉では問題事案が発生した後に対応してきたのです。ところが近年は、児童福祉のうち児童虐待の増加については社会的に関心も高く、その「予防・防止」という観点から、法的に“特定妊婦”と認定するようになってきました。
『健やか親子21 (第2次)』のような国民運動においても「妊娠期からの切れの目ない虐待予防」が唱われています。このような妊産婦さん(お母さん)とお子さんを取り囲むさまざまな環境要因によって引き起こされる課題に対応するために、厚生労働省(令和5年度~こども家庭庁)において研究班が発足しました。通称『光田班』と称して調査・研究活動してきました。
本ホームページは、そこで得られた成果を中心に医療・保健・福祉の連携に資する情報提供を行うことを目的に作成されました。もちろんまだまだ課題は山積していますが、多機関・多職種連携には共通の土台も必要です。そうした思いを込めて作成しましたので、皆さまからの多くのご意見を待っています。多くの方々に共有いただける場になりましたら幸いです。
研究代表者 光田信明
▼第1期 光田班
・平成27~29年度
厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
『妊婦健康診査および妊娠届を活用したハイリスク妊産婦の把握と効果的な保健指導のあり方に関する研究』
▼第2期 光田班
・平成30~32年度
厚生労働科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(健やか次世代育成総合研究事業)
『社会的ハイリスク妊婦の把握と切れ目のない支援のための保健・医療連携システム構築に関する研究』
▼第3期 光田班
・令和3~4年度
厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(健やか次世代育成総合研究事業)
『妊婦健康診査、産婦健康診査における妊産婦支援の総合的評価に関する研究 』
・令和5年度
こども家庭科学研究費補助金 (成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)
『妊婦健康診査、産婦健康診査における妊産婦支援の総合的評価に関する研究 』